はっぴ本誕生秘話 第6話
〜運命の出会い〜
それから一年後、「A COUPLE」の出席者でもある、私の友人が結婚式することになり、同じものを作って欲しいと依頼を受けました。
そして、新たなはっぴ本が生まれました。タイトルは「絆」です。
2004年の9月でした。
2冊目の「絆」が結婚式場の支配人さんを始め、スタッフの皆さんの目に止まり、「こんなの初めて見ました。是非うちで扱わせてくれませんか?」と、とっても嬉しいお声を頂きました。
その翌月、その支配人さんの「はっぴ本」のお手伝いをさせて頂き、取引のお誘いを再度頂いたのですが、当時デザイナーとして独立したばかりで生意気な私はみなさんの評価をまっすぐ受け入れられず、せっかくのお誘いを断ってしまったのです。
「偶然作ったものが評価されただけ。自分のやりたいこともあるし自分の力だけで成功する。」
確かそんな風に思っていました。
しかしながら現実は厳しく、勢いとノリだけでは仕事も取れず、売上もなく貯金を切り崩す日々。
半年程仕事がなく、ガソリン代も無い状態になり、営業にも行けない。
実家でなんとか食には困っていないという状況。
しかし、本当にジュース一本買えないところまで落ちました。
どん底です。
「自分の人生なんだったんだろう。」
「こんな思いをする為に独立したんじゃないのに。」
行く所まで行き着き、どん底状態になった時って人間変な行動を取るんですね。
その時の私は誰にも相手にされない状況で頭がおかしくなったのか、「自分には何があるのか?出来るのか?」と自問自答し、涙をこらえながら短い鉛筆で「褒められた年表」を書き始めました。
・小さい頃に褒められたこと、
・賞をもらったこと、
・部活で優勝したこと、
・お客様に感謝されたこと、
自分の人生で何が評価されたのかを探り、客観的な評価をただひたすらに書き綴りました。
正直こんなことでもしていないと気を保つことが出来ませんでした。
・・・二時間はかかったでしょうか。
ようやく書き終えました。
不思議と気持ちは晴れやかでした。
「こんなにたくさんの評価を受けて今の自分はあるんだ。まだまだ捨てたもんじゃない。」
無理やりな感じはありますが、本当にそう思えたんです。
自分の可能性に再び気付き始めたその時、自分が書き綴った1つの評価に目が留まりました。
先日の結婚式場でのはっぴ本、そう、「絆」の評価です。
「あんなにも喜んでくださって、一緒に仕事がしたいと言ってくれてる人がいるじゃないか!俺は何をやっているんだ!」
何とも言えない何かが、全身から湧き出るのを感じました。